アイシャドー

会期:2017.7.15-8.31
会場:埼玉県川口市 川口市立アートギャラリー・アトリア

グループ展「影⇄光」で発表。川口市内の街灯や広告の明かりを利用した「影絵」を制作、映像インスタレーションとして展開した。制作にあたっては、川口を舞台とした映画『キューポラのある街』(昭和37 年/日活)を頼りに、1年間撮影を進めた(キューポラは溶解炉のことを指す)。また川口には、自宅に火力発電所をつくり、近隣住民のために市内で初めて街燈を灯した永瀬庄吉が暮らしていた。

現在、生活に欠かすことができない電力は、自分たちで生み出すものではなく、中央集権的に管理されている。その力に等しく照らされる街路と私たちの暮らしについて、考えを巡らせながら制作した。

インスタレーションは下記3つのパートで構成されている。

A. 2人のシルエットをなぞる

去りゆく恋人の影をなぞったプリニウス『博物誌』のエピソードから着想。街燈の灯りとイメージの起源がオーバーラップする。

B. 看板から文字を抜き出す

映画タイトル『キューポラのある街』(きゅーPo ラのアル?まち)を内照式看板等から抜き出して撮影し、順に読み上げていく。

C. 夜の街を影絵で遊ぶ

『キューポラのある街』の撮影場所を夜に撮影し、その灯りをもとに2人で影絵を制作。市内のサウンドスケープと重ね合わせた手の遊戯を3面スクリーンで展示した。

アイシャドーが日本で一般的に広まったのは昭和30 年代、それまでは「夜の化粧」というイメージが強かったという。映画でも主演の吉永小百合が、夜の外出前に化粧をする印象的なシーンが収録されている。

Photo by Moemi Abe