明日の予報

会期:2015.9.20 – 9.27
会場:東京都台東区 旧平櫛田中邸

彫刻家の平櫛田中が住居兼アトリエとして使用していた邸宅で開催されたグループ展。公募企画「Dencyu Lab.」(主催:谷中のおかって / 選考委員:白石正美、熊倉純子、椎原晶子)での入選を経て制作した。以下は展示会場で発表したテキスト。


《明日の予報》
映像インスタレーション | 2015
テレビの天気予報士が立つその背後には、地図や図が合成されています。その背景を指差しながら、彼は私たちに明日の予報を教えてくれます。
この作品でも、クロマキーという同じ合成技術が使われています。この手法は特に新しいものではなく、1973年にはピーター・キャンパスというアーティストが《3つの移行》という作品のなかでも使用しています。本作は、彼の作品を参照し、ボストン公共放送局のスタジオではなく旧平櫛田中邸で、テレビ放送ではなくインスタレーションとして、1人ではなく2人で制作したものです。
また、《明日の予報》には、予想できなかった多くの要素が入り込んでいます。たとえば、押入の中から見つけた誰かのカセットテープや、たまたま遭遇した町内会の夏祭など。同じ時間と場所にいた人にしか分からない出来事の移行が、まさに今、この文章を読んでいるあなたの周りにも訪れていることだと思います。
普段は背景に隠れていますが、今ここは過去に起きた偶然の連なりで満たされています。その背景を指差してみましょう。もしかしたら、明日のことが少し分かるかもしれません。