たそかれ

(2018.12.8-2019.1.20, 水戸のキワマリ荘内 Space AFA、茨城県水戸市)

水戸のキワマリ荘内 Space AFAでの個展。2017年に制作・発表した作品《アイシャドー》の一部をもとに、他者の影をなぞることと、街灯によって影となり、その中で他者と出会うことをテーマにした新作を発表した。下記は、展覧会に際して配布したフライヤー掲載のテキスト。

—–

 去りゆく恋人の影を線でなぞること――これを絵画の起源とする逸話が大プリニウスの『博物誌』に記されています。一方で、影には不気味さや匿名性といった印象もつきまとっています。記名と匿名という両義的な性質を影は持ち合わせているようです。

 黄昏時は「誰そ彼( 誰ですかあなたは)」とたずねる時間帯から転じた言葉です。現在では、黄昏とともに路上を明るく照らす街灯によって不要となった問いかもしれません。その代わりに、路上は無数の人影であふれています。

 本展では、街灯を光源とした影の映像作品を中心に発表します。街灯というパブリックな灯りを、個人的に利用して生まれた私たち2 人の影。その輪郭を互いになぞりながら、そこにいるのは「誰そ彼( たそかれ)」と問いかけます。